Baum632a’s blog

スマブラが好きです。

1Fの狭間 〜必殺のタイミング〜

1Fの狭間 〜必殺のタイミング〜

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 超スマに参加してきました。自分視点になり、全てを忠実に再現したレポートにはなりませんが、この記事を書くことで少しでも超スマ並びに和歌山のオフに参加したいと思ってくれる人がいたらと思い筆を走らせることにしました。



 今日はスネーク固定でいこうかな。そんな気持ちを抱えながら入った会場。

「ばうむさん、お久しぶりです!」

なんて声をかけてくれた人がいた事や

「あの時、自分はVIPでも無かったんですけど、今は違いますよ!」

そんな熱すぎる想いを伝えてくれた人もいた。競技者として会場に足を踏み入れた以上、全てのプレイヤーへの情は捨てなければと思い、今考えると空返事をしてしまって悪い事をしたかなと思う。


 1回戦目、2回戦目と予定通りスネークを使用しどちらも2-0で超えた頃、ふと勝ちたい気持ちが心のドアを叩く。ブヒニーさん(@Machamp_Buhigam)から参加者全員へレッドブルの差し入れがあり、何とも太っ腹で粋だなぁと感謝した。f:id:Baum632a:20211206185458j:plain3回戦目、まさにそのブヒニーさんのダークサムスを見て、ケンを解禁してから本気でトナメを取りに行った。後半は差込みを空上で対空されていたり、かなり対応されていたものの2-0で勝ち、次はぬてさん。1戦目を取られ、2戦目を取り返し3戦目で負けた。GFでもう一度戦うことを確信していたので、この時から対ホムヒカの差し合いやバーストカードの整理を始めていた。


 敗者側決勝でニキさん。1戦目はケンインクリングでバ拒否ができて勝ち、2戦目にカービィが出てきて負けた。チビキャラでしっかりと対空や復帰阻止をするキャラの強みを活かした立ち回りに対し、素直に戦いづらさを感じた。3戦目はステージ選択とキャラ選択で優位にたっていたので終点リュウを解禁。結局、リュウとケンが心のどこかにずっといた事が自分でやっとわかった瞬間だった。カービィ3ストを残し処理しきれて勝ち。バンカズインクにはケン、カービィDDにはリュウで考えていたので、わりと2キャラ持っていて良かったなぁと再確認したシーン。

 そして帰ってきた対ぬてさん。GFでフリーも停止し、観客も盛り上がっていて超スマの良さを感じた。




 お互い手の内はわかっている。五分展開でラストストック。%の表示は互いに真っ赤だった。何か当たればこの瞬間が終わる事を互いに、また観戦者も感じていたと思う。この接戦を勝ち切りGFをひっくり返したい。そんな気持ちを抱えながら、接近するステップ全てに623コマンドを仕込みながら動いていた。

 思っていた通り、その瞬間はきた。ホムラが近距離でジャンプしたのが見えた。

「よっしゃぁ!!!!」

反射的に叫びながらAボタンを5F以上長押しした。画面は撃墜モーションで赤一色になり、会場からはどよめきがあったと思う。だが、不思議な事に横の男も歓声をあげ喜んでいた。今思えばたった一瞬。本当に数Fの瞬間だったが、凄まじい違和感が会場を包んだ。

 画面を見るとホムラが大きく映り、ワイプのような小さな画面でケンが悔しそうに拍手をしていた。俺がジャンプを見てAボタンを押した13F速くぬてさんはジャンプ攻撃をしていた。観戦者は「なぜばうむさんは喜んだのか?」と思っただろう。

 恐ろしい悔しさと次の対戦をどうしたら勝てるか?そんな凄まじいストレスがあった。対戦ルールの紙を見ながら下唇を左親指の爪で撫でた。本当に何Fか速ければおれが勝っていた。そんな因果律が酷く辛く、気付けば親指を思い切り噛んでいた。ブチブチと皮膚の繊維が切断される音が歯から聞こえる。衝撃的な痛みがブワッと全身を包むと同時に脳が緩和させようと痛み止めを出した。勝者側の敗退戦も含め、プレーを洗いざらい考えなおした。


 迎えた2戦目の勝利画面にはケンが映っていた。今考えればこの瞬間に自分の超スマは終わっていたのかもしれない。

 勿論、3戦目も勝つ気ではいた。しかし、これに勝ったとしてやっとリセットで、そこから2本取らなければいけない事実が脳裏を掠めた。いい対戦ができたよなぁ、ぬてさん強かったよなぁ。そんな気持ちと共に競技者の自分が舞台から捌けていくのを感じた。どんなに必死にカーテンコールをしても彼は戻ってこなかった。2ストック残したホムラの空下上スマを貰い、ケンはあっけなく消えていった。

 ぬてさんに握手を求め戦いは終わる。それは、どれもフルセットで戦ってくれたぬてさんへの敬意でもあったが、完全に燃え尽きた自分への儀式だったのかもしれないと今は思う。

 このご時世に握手はNGだったなぁ。今日の自分は周りが少し見えていなかったなぁ。反省ばかりが目立ち、頭を抱え少し凹んだ。



 帰りはぬてさん、イルミーさんと三人でご飯を食べた。悔しいという感情はもうあまり無くて、美味しくうどんを食べた。イルミーさんを送り、二人になった車内。

1戦目が勝負の分かれ目でしたよね。」

そう言われ、実はとあの時に昇龍を仕込んでいた事を伝えた。今日の勝者は彼で、こんなの苦し紛れの言い訳に聞こえるかななんて言ってから思った。

「昇龍、打ってましたよね。うーん、オフだとジャンプ見えちゃうよなー反省よなー。」

と思ってもいない返答が来た。あの数Fの狭間にいたのは自分だけじゃなかったのか!!強く驚き、同時にブワッと悔しさが込み上げた。


 心の奥底でリュウとケンが泣きそうな僕の肩を叩き、一言こう言った。

 「必殺のタイミングを計れ!」