乗りつぶした車
「ポコポン!ポコポコ!ポロロロン!♫」
うるっさ。
軽やかな木琴のメロディー
親の声より聞いたiPhoneの着信音が小さい静岡の部屋に響く
前日遊び疲れていた僕はスマホと間違えてテレビのリモコンを掴み、電源を入れる。
爽やかな朝のニュースをBGMにiPhoneのメインボーカル
なにやってんだろ。
テレビの消し方を思いつかない朝の僕は冷静にテレビのコンセントを抜き、ボーカリストの仕事にも終わりを告げた。
そんな最後の浜松オフを迎えるこの弥生の16日のオフレポ。
昨日はシャワーも入らずに寝たので、まずはシャワーを浴びる。
シャワーを浴びる時、僕は必ずiPhoneで音楽を流す。
今日は米津のアリス
コミカルな曲調と若干アジアンな雰囲気がユニットバスを陽気に包み込む
本当に眠い日は曲がすごく早く感じる。
例えば、本当に眠くて無理やりシャワーで身体を起こしている時は僕の眠たい心臓の低すぎるBPMに反してあいみょんのマリーゴールドならBPM150くらいに感じる。
今日は普通の爱丽丝 だ。
よかった昨日飲まなくて。
僕は原付で最寄駅へ向かい、途中さくちゃんと集合し浜松駅へ向かった。
浜松に少し早く到着した僕とさくちゃんは駅内にあるアニメイトへ向かった。
声優オタクと漫画が好きな普通のオタクの2人はそれぞれ同じ物を見ているようで少しづつ違った。
少し可笑しかった。
お互いに気に入った漫画を一冊づつ持ち、店内を巡っていると、あの大人気eスポーツシャドウバースのウェハースが目に入る。
僕はシャドバには疎いので、全然わからないが、中に何のカードが入っているかわからないというサプライズ感に負け、僕は一枚、さくちゃんはさいんちゃんの分も含め2枚購入した。
何が当たるかな!
さいんちゃんから浜松駅に迎えに来たよーという連絡を受け僕らは送迎レーンへと向かった。
いつもお迎えしてくれて本当助かったなぁ。
車で対戦会場へと向かう。
この時点で11.30。
今日のオフ会の集合時間は12.00なのでまだ十分間に合う。
僕は車での移動時間が好きだ。
好きな曲なんかをBGMにかけちゃって、テンションがジワジワフツフツと上がる昇る。
世間話から始まり、話が盛り上がって行くあの雰囲気。
全員が同じ方向を向いていて、意外と物理的に近くに座っているあの雰囲気。
飲み会と違って対面していないから話し易いのかもしれない。
到着までの時間が明確にあって、着いたら楽しいことがある。
きっと、このプロセスが好きなのかもしれない。
グダグダと一緒にいても意外と盛り上がらない。
そういう意味では静岡オフが盛り上がったのと移動時間というのは相同性があるかもしれない。
みんな卒業や就職で離れていく。
うっすらとぼんやりとそれを感じながらも、遊ぶ時は明確化せずに今を楽しむ!
静岡からはそんなソウルを感じた。
12時前に対戦会場前まで着いたのだが、お腹が減っていたのでとりあえず会場をスルーして僕ら3人は鰹ラーメン屋のAmoreに向かった。
これが美味い美味い。
鰹って結構癖が強い魚だと思うんですけど、意外とラーメンと合うんだなぁ。凄い。ちょっと感動しちゃったw
腹ごしらえも終え、やっと浜松のコロッセウム(浜北文化センター)に向かう。
到着すると見慣れたメンバー。
実家のような安心感。
アニメイトで買ったシャドバのカードを開け、まずはオープニングだ。
盛り上がっていこうぜ。
僕はオルトロスという萌え萌えカードが当たった!
女の子カードが当たったのでとりあえず喜ぶ。
シャドバオタク曰く、悪いカードでもないらしい!!やったね!!なんとなく嬉しいぞ!!
次はさいんちゃん
中のカードを傷つけない様に気持ち優しめに開け、邪魔なウエハースをそっとどかす。
そこにいたのはオルトロスだった。
まさかの被り。
うーん。ガチで反応しづらい。まぁ、言うたらハズレだよね…w
最後はさくちゃん
何が出るかなー
出て来たのはそのお菓子の表紙のガルミーユ
キラキラ度も僕らのオルトロスとは違い、シャドバを知らない僕でもこれはレアカードだとわかり会場のボルテージは上がった。
なんとなくメルカリで調べると1000円以上の値段で落札されている事もあったカードだった。
120円から1000円を生みだした…こいつ…やりおる……
楽しい3連ガチャを終え、みんなどんなカードで戦ってるかなーなんて会場中心に座りキョロキョロと眺めていると、かえるくんのピカチュウがやけに暴れていることに気づく。
「あれ?かえるくん強くない?w」
なんて声がどこからか聞こえる。
髪型こそ違うけど、この数ヶ月で彼は静岡のESAMになっていた。
某ガオガエンゲッコウガに筋トレを習ってムキムキになってもいいと思うよ。
ってか俺がスマブラする時、大体かえるくんがスプラトゥーンオンラインになってたのに本当にいつスマブラしてたんだwなんて思った。
様々なシステム変更やキャラの環境変化がかえるくんを化け物にしてしまったのかな?
彼からは様々な意味で伸び代しか感じないし、本当にムッキムキの最強ピカチュウになって僕をスマブラとリアル両方でバッキバキにしてくる日も遠くないのかもしれない…
まずは自分の対戦よりも周りの環境を眺めていた。
煙のように掴めない間合い管理で舞い必殺のタイミングを逃さず割符に釣魚!
シークで我々に火を付けた大人気YouTuberのまいとうまちこ氏は、弱点だったバースト困難を完全に解決するピチューを得た。
まさに水を得た魚。
バーストを得たシーク。
現状の彼を止められる男はいるのか…?
前作からネス一筋。
回避が1回になったシステムの変更や、サイマグや空上など技の仕様の変更も彼に追い風を与えメイトのランカーへと登り詰めた男もじゃ皇。強いのは勿論メイトだけでなくオフラインの今回の対戦会でも猛威を奮った。
現状全2ネスといっても差し支えないだろう。
これ強いでしょーwと楽しそうにサイマグ→空上→掴みを始め様々なコンボを我々に魅せた。
空前だけでなく空上がセービングを貫通してくること、崖外のPKFが向かい風になり、僕は全く歯が立たず、「くそー!強い!!けどこいつに勝ちてぇ!!」という感情が湧き上がらないほどに心が折れてしまい正直わりと落ち込んだw
そんなもじゃ氏をボコボコに潰してやるぞという雰囲気を醸し出し、殺意バキバキのさくちゃん。
ゼニガメの投げ火力を上げ続け、フシギソウの投げバーストコンボも密かに研究を続ける男。
世界に発信してないけど相当ヤベェコンボを隠し持つ彼はまさに静岡の隠しボス。
ピーチ?ウルフ?パルテナ?
一周してスネーク??メインキャラを迷いながらも常に考え戦い続けるぴこちゃん。
理論派でありながら、周りからの意見を素直に吸い取る吸収力は簡単そうで難しく、スマブラーにとってとても大切なものだ。
来年度から関東へ引っ越しオフ環境の更なる充実を得た彼はこれからどうなる。
飛び道具でリスクの少ない試合を作り、今作から出た新キャラの開拓をしながらもこのゲームの最強キャラを常に探し続けるぽめたろう。
もっと自信を持ってプレイしてもいんじゃね?wとかこっそり思ってる。
パルテナで相手を処理気味に倒すさいんちゃん。前回のアップデートでのチコの仕様変更以来、密かにロゼッタも触っているようだ。が、いかんせん非常に難しいキャラ。完成は遠い…
パルテナの横Bの爆炎をガードされ、オンラインとの若干の違いを感じていた彼はもじゃ氏と対等に戦い、自分の努力による成長を噛み締めていた。
まちこ氏をウェンディ(クッパJr.)で倒し会場をざわつかせたやつあたり氏は懐に最強の刀であるピクミン&アルフを隠しながら、たまにその隠した爪の恐ろしいキャラパワーを僕らに魅せた。
何だかんだ結局みんな負けたくないし、みんな日々成長している。
苦悩しながら対戦を重ね、発売開始から数ヶ月でメキメキと実力をあげていくのを肌で感じた。
男達のスマブラという旅はまだ始まったばかり…
会場の時間が来たので、机やモニターを片付け会場を去った。
卒業でクラスの教室を出て行くような寂しさと、たまにピタッとくる沈黙の時間が僕らを包むが、二次会の飲み屋へと歩む足は止まらない。
生ビールの一口目を求め、僕らは浜松駅へと向かった。
「かんぱーい!!おつかれさまーーー!!!!」
主催として浜松を静岡を支えてくれたぴこちゃんに音頭を取ってもらい、僕らは乾杯した。
酒は人を変える。
そう。お酒というのは人をすっかり別の人へと変えてしまう魔法の液体です。
石灰水のように真っ白な未成年は知らないでしょうが、お酒という魔法の溶液は、理科の実験でやった酢酸カーミンやフェノールフタレイン溶液で驚いていた数年前まで未成年だった僕らの顔を真っ赤に変え、ヨウ素液やBTB溶液にも引けを取らないほど真っ青になってしまうような事を薄い塩酸がかかったわけでもないのに口を滑らせてしまうものです。
ここで理解できている君たちなら間違っても未成年から飲まないほうがいいぞ。
どうせ数年後から嫌という程飲めますから。
すっかり理科の実験の酸性やアルカリ性なんて忘れてしまった僕らは生ビールから始め、それぞれ好きなお酒を嗜んでいく。
飲む前はあんなにスマブラの話をしていた僕らは一滴でもお酒が入った瞬間から女の話しかしていないのでは?とも思えるほど女の話をした。
いや、ほんと不思議ね。
時空を飛び交うパラドックスな僕ら静岡勢。
今カノ、元カノ、好きだったあの子。
過去、現在、未来と様々な時空を飛び交い、こうだったらなと未来に希望を見据えながらも、実際なるであろう未来についての対策を話し合う僕らは凄く子どもっぽくて凄く大人になったと自分では思う。
美味しい料理に舌鼓している瞬間は一瞬で過ぎていく。
リュウの昇竜拳を当てた時はヒットストップで数フレーム演出が伸びる。その数フレームがリュウ使いにとって永遠に感じるように、一瞬で無くなる料理も友人とわいわい食べればその瞬間が永遠なんだと僕は思う。
飲み放題のコースに時間が来たので、店を出て三次会のかえる宅へと向かう。
徒歩でかえる宅へ向かう途中も話は止まらない。
来年度から関東へと向かう僕とぴこちゃんは不思議と惹かれ合い二人で話す。
途中、コンビニに寄り、各自三次会のお酒やおつまみを買った。
僕はぴこちゃんに快楽天をおねだりした。
するとあっさりそのくらい買ってやるよの一返事。
やったぁ!これで僕らはかえる宅のヒーローさ!
けど、てっきりぴこちゃんが買ってくれると思ったら、買うのめんどいからと言って1000円を僕に渡した。
僕はその1000円と快楽天を握りしめ、レジへと向かう。
気分は初めてのおつかい。
ドーレミファソーラシードーと頭で流れながら酔っ払った頭でレジに快楽天をドンっと置く。
「Tポイントカードは~?」
「ないです。」
「お会計1000円からお預かりしまして、○○○円のお返しになります~ありがとうございました~」
「はい。ありがとうございます。」
僕の初めてのおつかいを見ていたやつさんになんであんな声でお礼言ったの?wと言われた。
僕はえっちな物を買う時ほどかっこつけたいタイプなのだ。
この前DMMのペイチャンネル用のカードを買った時もそうだった。
恥ずかしくなっちゃう自分を押し殺すためにあえて声のトーンを下げ、気持ちゆっくり目に相手に伝える感謝の気持ち。
「はい。(店員さん。僕らに快楽天を)ありがとうございます。」
快楽天を背中のリュックに詰め、またかえる宅へと歩き出す。
歩けない距離と判断した半分のメンバーはバスで帰ったが、僕らは負けずに歩き続ける。
そこで出た話題の1つが「スマブラの大会や対戦会についての金の問題」だった。
金は本当に人を狂わす。
これだけは本当に間違い無いと思っています。
それについての問題や話した内容についてをここで言及しようか迷いましたが、やめておきます。
何故なら、スマ界では問題提起した人間がボコボコに叩かれ、本来の解決への討論をする人は少なく、生産性もない暇つぶしの人叩きになる事が多いと僕自身考えているからです。
まぁ、1つ言えるのは浜松勢の器の広さとぴこちゃんはなかなかの男だったって事くらいかな。
かえる宅へ着くとバスで帰宅した組はチームスマブラをしていた。
スマブラ大好き星人の夜は遅い…
お酒大好きおっぱい星人達はロフトへと向かう。
下からスマブラで騒ぐ声を聞きながら飲む酒も悪くない。
気づくと僕はコタツに足を突っ込んで腹を少し出し寝ていた。
身体を少しひねると脊柱のボキボキッという音が身体に響く。
相当悪い姿勢で寝ていたな…
足を伸ばそうにもコタツの中は既に大樹の根の様に複雑にスマブラーの脚が我こそが暖を取ろうと伸ばしている。
冷静にロフトから自分の上着を回収し、それらを布団の様にして足先をちょこんとコタツに入れ暖をとり僕はやっと就寝した。
朝8時にさいんちゃんの目覚ましが鳴る。
さいんちゃんは二度寝三度寝と繰り返し、四回目ほどで起きて「帰宅します。」と我々にSNSで伝え帰宅した。
11時ほどだったか、それぞれがポツポツと起床し始めた。
僕は(あ、みんな起き始めたな。)と感じるも、夢と現実の狭間で意識がフラフラ千鳥足。
身体は完全に寝ている。
意識だけがフラフラと行き来しているのだ。
身体に血液をドクドクと巡らせているのがわかる。
いつもよりゆっくりゆっくりと巡らせているのが伝わる。
こんな低いBPMでは僕はとても身体を動かせない。
30分ほどで徐々にテンションを上げ血液が身体中に強く巡ったのを感じた僕は(ここだ…!)と寝ていた身体を飛び起こす。
本当に文字通り飛び起こした。
その瞬間を先に起きていた2人に見られ少し恥ずかしくなったが、無事起床した。
歯磨きと顔を洗い、朝スマを始めた。
せっかく人もいたのでチームをやった。
今作初のチーム。
投げが速くて合わせるのは難しいし、なかなか勝てなかった気がする。
1時間もやるとお腹が減って来た。
(さて、グルメな浜松勢達との最後のご飯だ!)と意気込んで僕は「飯どうする~?」と聞くと帰ってきたのは
「ほっともっとでよくね~?」との返信とかえるくんから
「ガストもあるよ~」
だった。
若干腑に落ちない気持ちを抑え、ほっともっとへと向かう。
かえるくんがカットステーキ重が美味しいことを教えてくれたので、それと豚汁を頼み待つ。
待つ間暇なのでまちこ氏を誘い一緒にコンビニへ向かった。
コンビニでアイスコーヒーを買っていると外から雨が降ってきた。
さっき「なんか暗くね?雨降りそう…」と呟いていたもじゃ皇が絶対ニヤニヤしながら待っていると思うと癪だったが、カットステーキ重の魅力に負けほっともっとへ戻り、お弁当を回収し、かえる宅へと戻る。
いただきまーす!と特製のソースをかけ、割り箸を持ち一口目をいただく。
これがめっっっちゃ美味しかった。
最高や…普通にうまいやんけ…
ありがとうかえるくん。
ありがとうほっともっと。
ありがとう柳葉さん。
食べながらスマブラのBGMを触っているとそれぞれ思入れのある曲で盛り上がった。
特にどうぶつの森のBGMはすま村や村街で嫌という程聞いたので盛り上がったし、ポケモンは若干のジャネレーションギャップを感じつつ盛り上がった。
みんなスマブラーでありながら、任天堂というゲームを愛する仲間たち。
人によって違うが、そんな少年時代の思い出のゲームを乗せて凝縮されたスマブラというゲームの楽しさや美しさを再認識した。
楽しく永遠に感じた時間にもそろそろ終わりが来そうだ。
高校の卒業式はワンワンと号泣した僕は、不思議と冷静に静岡の大好きなみんなとの別れを受け入れられた。
僕らはスマブラで繋がっているからこれが本当の別れじゃないことをみんな知っているからだろう。
愛するブラザーたちよ。大会で会おう。
明日から月曜日。
それぞれスマブラという世界からまた自分の住む世界へと戻っていく。
そしてここまで二次会のじとっこ、三次会のかえる宅と来たが、静岡勢は1つの区切りである浜松対戦会の終了に到着する。
静岡という僕にとっては大学生活を移動する車にこのメンバーで乗れて本当に良かった。
僕らは喧嘩もしたし、ふざけ半分に陰口を叩いたりしたこともある。
けど、会ってスマブラを一緒に遊べば仲直り。
素直に心から「ごめんね。」って出てくるし、次のシーンには「はー?崖上がれないんだけどww」なんてふざけあえる。
運転手がラッツさんからぴこちゃんに変わったり、学問を修め、途中下車する仲間達もいた。
そんな彼らは時たまに静岡に顔を出してくれた。それがすげぇ嬉しかった。
あぁ、最高だったな静岡でのスマブラ人生!
あらためて、静岡の発展のために尽力を尽くしてくださった、ろくよんさん、アイゴさん、ラッツさん、ぴこちゃんには深く厚く熱く御礼申しあげたい。
僕とさくちゃんはぴこカーで浜松駅へと送ってもらい、僕は新幹線、さくちゃんは電車でそれぞれ自分の街へと帰宅した。
僕はそのまま兄と嫁さんと、そのお子さん。僕にとっての初めての姪に逢いに実家の埼玉へと帰宅した。
実家へ帰り扉を開けると早速リビングから明るい声が聞こえる。
新幹線や電車からなんの病原菌を貰っているかわからないので、すぐシャワーを浴び、いつもより身体を慎重に洗い、シャワーから出たら手と腕を石鹸で洗い、「ただいまー」と言いながらリビングへと帰宅する。
両親と嫁さんと子を抱く兄の姿がそこにはあった。
崩壊しそうな自分の涙腺を抑えていると兄から「○○○ちゃん!おじさん帰ってきたよ!!初めましてだねー抱っこしてもらおっか!」との声があった。
僕は兄に抱っこの仕方を教わり、僕をおじさんにしてくれた姪を抱っこした。
僕の手のひらよりも小さい頭。
そしてあまりにけがれをしらない小さな小さな手のひらを見て僕は僕の生きる理由や生きる義務を感じた。